iron-oxide painting “C.T./T****11”
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《iron oxide painting》
iron oxide paintingは、加藤智大が探求してきた「物質と認識」「境界」というテーマから生まれた絵画シリーズです。
加藤は、「鉄で鉄ではないものをつくる」という試みから制作を始め、人が物質をどのように認識しているのかを問い続けてきました。また、牢獄を模した作品の中に任意のものや人を閉じ込めることで、「内側」と「外側」を隔てる境界や、それによって変化する価値観について考察してきました。そこで、その関心を絵画というフォーマットへと展開し、肖像を画面の中へ閉じ込めることを試みています。
適切な粒度の酸化鉄を絵画用メディウムに添加した独自の画材でレリーフ状に図を描き出し、酸化鉄を加えた絵具や顔料を重ねることで、表面に凹凸を形成し、錆びた鋳鉄のような重厚な質感を生み出しています。
一見すると鉄板や鋳物のように見えますが、実際には絵画として制作されており、「鉄に擬態した絵画」ともいえる作品です。鑑賞者の認識を揺さぶりながら、「物質と絵画」といった境界について問いかけます。
本作では、主に肖像(ポートレート)をモチーフとしており、海外で公開されているマグショット(逮捕時に撮影される顔写真)のアーカイブから選定した人物像を取り入れています。匿名性を保つために画像を大小さまざまなドットへと変換しながらも、その表情や存在感を画面の中に留めることで、肖像画でありながら抽象性を備えた作品へと昇華しています。
加藤は犯罪そのものを礼賛あるいは批判する立場ではなく、それを現代社会に存在する一つの「境界」として捉えています。「匿名と個」「内と外」「物質と絵画」といった現代社会に潜在する境界と、個人と社会との関係性について考察したシリーズです。
ARTIST
加藤 智大
鉄を素材に「物質と社会」「匿名と個」「内と外」といった現代社会に潜在する境界をテーマに彫刻や絵画制作を行う。
主な個展に「“binary”」(TEZUKAYAMA GALLERY、2024)、
グループ展に「日本美術の鉱脈展 未来の国宝を探せ!」(大阪中之島美術館、2025)、
第16回岡本太郎現代芸術賞(岡本太郎賞)(2013)受賞。