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村上 郁
MURAKAMI Kaoru
電球都市 #74 ― テンビー、サウス・サンズ、ノース・サンズ、港、城壁とファイヴ・アーチズ、1963年8月20日。 「ラドローで一日一夜を過ごした後、ここに無事到着しました。」
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《電球都市》は、切れた白熱電球を分解し、その内部に蚤の市などで収集した古い絵はがきを封入して、再び光を灯す作品シリーズである。電球と絵はがきは、いずれもかつて私的な生活空間にあり、日常の記憶や感情を運んでいたメディアである。しかし現在では、技術の変化や所有者の不在によって、その役割を失いつつある。
本作では、役目を終えた電球を小さな都市や記憶の容器として扱う。ガラス球の内部で絵はがきの風景は光に照らされ、液体によって像を歪ませながら、かつて誰かが見た場所や送った言葉の痕跡を浮かび上がらせる。失われたメディアに再び光を与えることで、技術の移り変わりの中で見えにくくなった記憶や感覚を、現在の空間に呼び戻す試みである。
ARTIST
村上 郁
東京を拠点に、インスタレーションやオブジェクトを制作。「散歩」と呼ぶ身体的なリサーチを起点に、水の循環や光、和紙など自然の素材と現象を通じて、ものと環境の関係を探る。15年以上続くシリーズ《電球都市》ほか、バーゼル、ノルウェーなど国内外のレジデンスに参加。2024年神戸六甲ミーツ・アート神戸市長賞受賞。
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